秋刀魚の味

秋刀魚の味 [DVD]

秋刀魚の味 [DVD]

 超有名だけど、有名すぎて実際見たことがあんまりない作家って多いよな〜、と思い最近意識してみてます。具体的に最近は小津安二郎溝口健二の映画をまとめて何本か見ました。その中で(相対的にではないけど)一番気に入ったのが小津安二郎の「秋刀魚の味」でした。
 もともと見たいと思っていたところに保坂和志がこの映画のことを書いた文章を読み、いい機会だとおもってレンタルしてきて見ました。
 小津映画は評論家受けはよくても大衆受けはあまりしなかったと何かで聞いていたのではじめは身構えていましたが、まったく退屈することはなく、時間を忘れて見てしまいました。
 役者のほとんどはもう亡くなっているのに、僕としてははじめて見る人ばかり(笠智衆ですら!)なので新鮮で、複雑な気分になりますが、そんなことは関係ないほど面白くて、声を上げて笑ってしまうほどでした。映画を見て声を上げて笑うことってこれまでまったくなくて少し自分でも驚きました。
 いい歳したおっさんたちの掛け合いは昨今の下手なコントや漫才よりよっぽど面白いし、瓢箪役の東野栄治郎は存在自体が面白い。
それぞれのシーンがが面白いから、全体として淡々としたストーリーでも眠くなることはない。「東京物語」や「東京暮色」みたいに重大な出来事がなくても十分見ることができる。僕は「秋刀魚の味」が好きだ。
 ストーリーとは関係ないけど、小津映画では家の大きさとか雰囲気がきっちり感じられるところがいい。壁紙とか小物とかもお洒落で泣けてくる。