「ゴッホの復活」小林英樹

ゴッホの復活

ゴッホの復活

 著者のゴッホ研究の著作としては4作目、贋作に焦点を当てたシリーズとしては3作目、前作よりも格段に読みやすくなっている。
 新宿にあるゴッホのひまわりの絵についても言及していて、数日前、ニュースサイトでも記事になっていた。今後、当の美術館がどのような対応をするかひそかに楽しみにしている。
 この本は、前述のとおりゴッホ研究の本なのだが、同時に著者の絵画論を記した書としても読める。というか著者の絵画論として読んだほうが面白いと感じた。著者はもともと画家で、本を執筆するようになったのはここ10年ほどのことであり、圧倒的に長い時間、画家として培われた思考や感性が文章の端々から感じられる。