ロラン・バルト「表徴の帝国」を読んだ。

日本でのいろんな体験や、見たもの、学んだもの、食事や文化から、著者が考えたことのエッセイ。「日本」についてのエッセイって言う感じは受けなくて、素朴に読んでいると、ここに書かれている日本は当然今はもうないと思うし、実際この本が書かれた当時にもこの本に書かれているような日本はないんじゃないかというふうに思った。それだけに余分なノスタルジーにおちいることもなく、だからといて的外れな印象も全然なくて、ハッとするような鋭い考察というか、描写もそこかしこにあって、面白く読むことが出来た。巻末の宗左近の解説を読んで頭の中こんがらがったけど…構造主義とか現代思想のコンテクストが全然わかってなくてもこの本は面白く読めます。