「〈私〉という演算」保坂和志

<私>という演算 (中公文庫)

<私>という演算 (中公文庫)

保坂和志は小説の作品もすばらしいけど、この「〈私〉という演算」のような、保坂が考えていることをそのまま書きまとめたような本がいい。
保坂の、この手の本のいいところは、普通の人がきちんと考えているんだなと思わされるところで、人間の目線の高さで、ぼくたちおんなじ地平に立って考えているように思えるところがいい。
もちろん同じ地平なんていうのは勘違いもいいとこだけど、じっくりゆっくりぼんやりしたところから徐々に考えがまとまったりやっぱりぼんやりしたまんまだったり、「読む」ということが「考える」と言うこととすごく密接に関係していると感じられるところがいい。(たぶん僕はこの本に書かれていることの2割も理解できていない)