第二十回三島由紀夫賞受賞!「1000の小説とバックベアード」佐藤友哉

1000の小説とバックベアード

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 佐藤友哉は単行本になってるのは全部読んでるはずだけど、初期の「鏡家サーガ」は普通に面白く読んで、「クリスマステロル」「子供たち怒る怒る怒る」あたりでだいぶ失速した感じを受けていたけど、この本を読みながらいつも佐藤の本を読むときに感じる「アイタタ」というような気持ちはずっと持ち続けるんけど、すべてを読了したときに、すごく清々しいというか、佐藤友哉の本を読むのがつらいときもあったけど、読んできてよかったなぁと思った。簡単に(というか乱暴に)言ってしまえば、思いのほか感動したということ。

 それがなんと今年度の三島賞を受賞したということで本当におめでたいことです。ユヤタン佐藤友哉の愛称)もこれで大きく飛躍してくれると嬉しいけど、いっそ自虐路線に拍車がかかるのかも。ちなみに三島由紀夫賞は僕が一番信頼(ちょっとニュアンスが違うんだけど。「気にする」とか「参考にする」とかと「信頼する」の真ん中ぐらいの気持ちってなんてあらわすのか)している賞だけに、ずっと読んできた作家が受賞すると嬉しい。(他の候補作を読んでいないから素朴に嬉しがれる。)

 今月の「新潮」に載ってる佐々木敦の「ニッポンの小説(家)の誕生 プチ佐藤友哉論」(本当は「論」の字の上に×印が重ねられている)もちょっと立ち読みしたけどつかれてたから全部は読んでいない。今月の「新潮」は東浩紀仲俣暁生の対談も載っているので買ってもいいけど、ちょっと散財気味で悩む。