「憂鬱なハスビーン」朝比奈あすか

憂鬱なハスビーン

憂鬱なハスビーン

 「文化系トークラジオLife」の新年会の回でサブパーソナリティの柳瀬博一さんが紹介していた本。今年読んだ本の3分の1はこの番組で言及されたものな気がするけどそれはそれですばらしい。今年は保坂和志と「文化系トークラジオLife」に出会ったことで読書の幅がかなり広がったと思う。それ以前はファウスト系の作家と三島賞作家と早川の「リアル・フィクション」「Jコレクション」のほんの一部ぐらいしか読んでなかった。
 話が大分ずれましたがハスビーンというのは帯に書いてあることによると「一発屋」のことで、主人公の東大卒の専業主婦「凛子」のことだけど、この「凛子」がほんとに嫌なヤツだ。大体、よく読まれる小説ならこのテのやなヤツがやなヤツになった過程の事件とかを描いて感情移入させることで、同情とか憐憫の感情を誘発して読ませようとすることが多いと思うんだけど(もしかしてそれって「ツンデレ」なのか)、この小説ではそういうことがほとんどなくて、もちろんまったくないことはないけど、最初から最後までやなヤツとして筋が通ってたのがよかった。