「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

現実にあるモチーフとか固有名詞がたくさん出てくるからといって、現実の世界を小説で描写しているわけでは全然ないけども、全編を通してリアリティーがあるように感じる。現実でないなにかを徹底的に描写するということでそのリアリティがうまれていると思う。(大塚英志の「まんが・アニメ的リアリズム」という言葉を思い出す。けれど、思い出しただけであって、この本に表現されているものそれかどうかは考えていない。そういう興味は僕にはあんまりない。)。構成とか出てくるモチーフとか固有名詞とかの共通項が多くて、どうしても前作の「四畳半神話体系」と比べてしまうけど、「夜は〜」の方がベタに「恋愛」とか「成長」に向き合っていて好感がもてる。