「太陽の塔」森見登美彦

太陽の塔 (新潮文庫)

太陽の塔 (新潮文庫)

自意識がごわごわと肥大化した男子大学生たちが、クリスマスファシズム吹き荒れる12月の京都でうごうごとうごめく話。森見登美彦はいつも京都を描くけど、ちょっとこの作品では足りないというか、京都に住んだことがない人(僕とか)にはちょいと伝わらない気がする。基本的に街を描写するということはあんまりなくて地名として提示されるだけだから。受け手が地図を描けるかどうかで小説としての印象が変わるのではないか。その点、その後の「四畳半神話体系」や「夜は短し歩けよ乙女」等では物語ともうまく絡みつつ京都という街が描写されていると思ったから、成長しているってことでいいんだけど、やっぱりちょっと惜しい。