写真のこと

何かをつくるときに通時的な部分に重きを置くのか共時的な部分に重きを置くのか、間違いなく自分は後者で、「肥えた土地」で受けた印象だけでものすごく大雑把に乱暴に言えば多摩美の人たちは前者の傾向が強くてムサビの人たちはバランスがいいと思った。バランスがいいのがよさそうな気がするけど歪でも一点突破でなんとかなってしまっている人もいると思う。

写真が真実を写すなんていっても、真実ってなんだと考えるとよく分からなくて、絞りやシャッタースピードを操れば夜を昼みたいに見せることが出来る、というようなことではなくて、人間の目とレンズではそもそも現実の見え方が全然違うということでもなくて、撮られた側の現実が常に消えてしまうということが不思議だ。

別に哲学的なことではなくて、そういうことを考えるのは、つい先日までそこにあった森が一日やそこらで全部伐採されてしまったときや、古くて趣のある家だった場所が駐車場になって、その駐車場を見たときにはそこに古くて趣のある家があったことすら思い出せない・・・みたいな日常生活の中でのことで、そういうことが気になるということが、生まれてからずっと一箇所の家に住み続けているということに関係があるかは分からない。

それで初めて買ったカメラは大学に入った年の秋に、その年の夏に開店してはじめたイオンのバイトの給料をいただいたときに買ったニコンのU2だった。